15
むかし
ちいさなくれよんと
おおきなくれよんがいました
ちいさなくれよんは
おれんじ色だと思われていました
おおきなくれよんを何色だと思っていたかは忘れてしまいました
まいにちの
忙しい日常の一部として
くれよんは存在していました
そのうちに
くれよんは話をするようになり
ともだちになりました
わらったり絵をかいたり
仲良くなりました
くれよんが背景の一部から
主人公になった瞬間でした
ちいさなくれよんは
おおきなくれよんと
もっともっと仲良くなりたいとおもいました
でも2つのくれよんは
深いおはなしは
あんまりしませんでした
たのしいことだけ
いつもかんがえていました
くれよんの仲間たちと
旅行にもいきました
みんなでえをかこうとして
しっぱいしたりしました
船にものりました
舟もこぎました
くれよんは油性だったので
溶けずにすみました
くれよんたちは
尊いはなしをきいて
なみだを流しました
そして、
おいしいごはんをたくさんたべました
くれよんたちは
がんばってきれいな音楽もかきました
えいがをかいたり
すぽーつをかいたり
かき氷をかいたり
うつりかわる景色をかいたり
そんな日常の一部として
変わらずに存在していました
変わったのは冬でした
おおきなくれよんは
こころをかきました
ちいさなくれよんはそれをみて、たくさんたくさん考えました
ゆきがつもって
それがとけて
出会いと別れの季節がまたやってきました
ちいさなくれよんは、その間にいくつかのなみだを流しました
きっと、おおきなくれよんも流したかもしれません
そしてちいさなくれよんはひとつ決めました
もうにどと同じ過ちをくりかえさないことを
その日から
くれよんのまいにちには
きれいな色がつきはじめました
おれんじ色だったちいさなくれよんも、何色か忘れたおおきなくれよんも、魔法のくれよんに変わりました
くるくると色を変えながら
2つのくれよんは絵をかいていきました
あかやあおやきいろや
たまにはむらさきも使って
そして絵をかけばかくほど、魔法のくれよんが出せる色の数は増えていきました
色のついた日常は
おもっていたよりずっとずっと早くすぎていきました
おおきなくれよんは、ちいさなくれよんに合わせて同じ目線でいてくれました
ちいさなくれよんが
暗い
怖い
どろどろとした
そんな色から抜け出せなくなったとき、いつもそっとそれをぬぐってくれていたのはおおきなくれよんでした
ちいさなくれよんもいつか、おおきなくれよんに同じように接しようと思いました
くれよんは幸せでした
ときには悲しい思いもしました
でも
日常は想像以上にきらきらと輝いていて
くれよんは、夢をみつけました
くれよんたちが新しい世界に旅立つとき
ちいさなくれよんと
おおきなくれよんも、
夢をかなえるための一歩をふみだしました
くれよんは
おたがいを信じることをまなびました
くれよんは
目標をもってとりくむことをまなびました
おおきなくれよんとちいさなくれよんは
ともだちでもあり
大切な関係でもあり
らいばるでもあり
相談相手でもあり
理解者でもあり
負けられない相手でもあります
2つのくれよんは
そうやって今、おおきな虹をかいてる途中です
おおきなおおきな虹をかいたら
そこに座っておべんとうを食べながら、
またおもいでを
そしてみらいを
かき続けたいと
おもっています
いっしょに使っているくれよんは、きっといっしょに使い終わってなくなってしまうでしょう
だんだんとちびていくそのくれよんは
それでもきっときらきらと笑っているのでしょう
そのときに
くれよんはりっぱなおとなになっているでしょうか
くれよんは
夢をかなえたでしょうか
くれよんは
ありがとうの気持ちを
つたえたいと思います
ありがとう
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